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記事の集合体からの脱却でCVRが160%に向上!買い物メディア『your SELECT. 』が 構想2年、ブランドリニューアルした理由

2020年、総合比較メディアとして産声をあげた「your SELECT.」が、2024年7月にブランドロゴやWebサイトのデザインを全面的にリニューアルしました。メディアコンセプトも「買い物、本来のときめきが生まれる場所をつくる。」へ一新。リブランディングともいうべき大きな変化を決断した背景とは一体なんだったのでしょうか。

事業の担当者2名に、リニューアルへ至った背景や道のりについて振り返ってもらいました。

團野智典(だんの・とものり)さん 
your SELECT.事業部 事業部長(プロジェクトオーナー/PdM)

広告・出版社に編集ライターとして入社し、住宅・ブライダル・タウン情報など複数の編集長を歴任。 紙媒体だけでなくWEBサービスやオフラインイベントを含め、幅広いメディア事業の立ち上げやブランディング、新規事業開発の立ち上げに携わる。 2021年12月、キュービック入社し、翌年4月より「your SELECT.」事業部長に。

浅井眞凛(あさい・まりん)さん 
your SELECT.事業部マーケティングチームマネージャー(プロジェクトマネージャー)
2017年に学生インターンとして入社。2019年に新卒入社し、転職領域のマーケティングに従事。現在はyour SELECT.事業部マーケティングチームマネージャー。

構想に2年!ユーザーに何度も訪れてもらうために

ーそもそもリニューアルをしたいと考えたのはいつ頃のことでしょうか?

團野:実は、私が入社したときから、「いつかは」と考えていました。ですから構想としては、2年前からになりますね(笑)。

「your SELECT.」に対して初めに感じた印象としては、「メディア全体としての統一感があまりないな」でした。

ーなぜリニューアルすることに決めたのでしょうか?当時、抱えていた課題とは?

浅井:1度きりではなく、何度もユーザーにメディアを活用してもらいたい。ただそのためには、各記事で体験が異なっているような記事の集合体から脱却しなくてはいけない。というのが一番の理由です。
サービス開始から4年を経て、いまの『your SELECT.』には800を超える記事があるのですが、デザインパーツ一つとっても、記事ごとにまちまちで…。

團野:おそらくリニューアル前の『your SELECT.』だと、複数の記事を見てもらったとしても、同じ「WEBメディアなのかな?」と感じるくらい、まとまりがなかったのではないかなと思います。

浅井:検索をメインの集客手段とするSEOメディアであれば、記事一つひとつのSEOパフォーマンスを最適化することこそが最重要で、サイト全体のコンセプトやデザインが必ずしも売上には直結しないというのが業界の常識ですからね…。

團野:雑誌や書籍などの紙メディアに携わってきて身としては、「メディアコンセプト」があるようでないというのが、カルチャーショックというくらい驚きででも事業の特性を聞くと、「なるほど、そういうことね」と納得する部分もありました。
浅井:これも”SEOメディアあるある”かと思いますが、ユーザーとの接点が検索アルゴリズムによって大きく左右されてしまうんですよね。なので結果的に、売上のボラティリティも大きくて…。検索一本足ではなく、ちゃんと定期的にユーザーが訪れてくれるようなメディアに変化していきたいね、と議論するようになっていきました。

順位だけを追いすぎない。独自性を確立するためのブランドガイド策定へ

團野:なぜリニューアルまでに約2年もかかったのかというアンサーでもあるのですが、あくまで、見栄えの変更は、最後フェーズだと思ってたからです。まず重要なのは、『ユーザーにどんなことを提供できる、どんなメディアであるべきなのか』を、チームのみんなで決めていき、言語化するところから始めました。

目指すのは、ユーザー自らが『your SELECT.』というブランドに信頼を感じ、繰り返し何度もきてもらえるようなメディアに進化することです。

そのために、私たちにとってのユーザーとはどんな人で、その人がどんなペインを持っているのか、その解決のために自分たちが貢献できることはなにか、を見つめ直すことが重要だと思いました。

浅井:以前の私たちは、ユーザーとの接点をあくまで点でしか捉えてなかったように思います。「検索エンジンで上位表示されるためには」を考えることで、”届けたい明確な誰か”ではなく、”なるべく多くの人に検索されるようなワードから切り口を考える”といった、記事の作り方になっていたように思います。

もちろんこういった方針を否定するものではなく、SEOとしては王道でもあるのですが、順位だけを追うと、他社との真似しあいっこのようになってしまい、最終的には記事自体が同質化します。この戦いを繰り返すと、疲弊していきますよね。

私見ですが、検索のアルゴリズムって10人が見たら10人から”まあまあいい記事だね”って言われるような内容の記事が基本的に検索上位に上がってきがちです。

検索上位に表示させるために、そんな思想で記事を作ってしまうと、結果的にも検索の多様性を失うことにもなり、誰にも覚えてもらえないメディアとなってしまう…。同質化にあらがい「独自性を大切にする」というのが4年前にyour SELECT.を立ち上げた当初のビジョンだったのですが、この原点を再認識した感覚がありました。

團野:最初に取り掛かったのは、メディアとしてのビジョン策定です。マーケターや編集者、デザイナー、ディレクターなど携わる様々なメンバーとディスカッションを続け、「買い物、本来のときめきが生まれる場所をつくる。」に至りました。そのうえで次の一手として、私と編集長の宮川達也(みやかわ・たつや)とともに、「ブランドガイドライン」の策定に着手しました。ブランドガイドラインとは、媒体としての哲学(概念)やブランド体験の一貫性を保つための価値観や基本ルール、ブランド表現をカタチづくるための基本的なデザイン要素とその使用ルールを定めるものです。デザインのリニューアルを目的とするのではなく、ユーザーにとってよりよい体験につなげていくために、焦らず進めていきました。

團野:こういったガイドラインは、社内には前例がなく知見もないものだったので、社外のブランドマーケターの方に参画してもらい、3〜4カ月ほど宮川と議論を重ね、設計していきました。

ーブランドガイドラインを制作する上で苦労した点は?

團野:やはり1番難しいのは、どんな人をターゲットやペルソナとするかですね。

当時、ユーザーへの解像度はまだまだ高くなく、ペルソナ議論はどこまでいってもブラッシュアップの余地しかない状況でした。そこで私たちは、ビジネス上のターゲットとコミュニケーション上のターゲットという2つの観点で整理することで、現状ビジネスとの接続をケアしつつ、理想のユーザー像に近づけていくアプローチをとりました。割とエイヤで決めたパートもあるのですが、それについては「ユーザーの解像度が上がってきたら、都度アップデートしていこう」と決め、まずは前進させることを優先しました。

ーブランドガイドラインができたことでの変化はありましたか?

浅井:個々のメンバーの意思決定の軸が明確になったと思います。これまでは「これは your SELECT.っぽいよね」「これはちがうよね」といったふんわりした会話でしか記事やデザインの方針を決められていなかったのだと気づけたのです

ブランドガイドラインを議論の前提としたことで、会話の質はぐっと上がったと思います。従来は、たくさん存在するユーザーニーズのなかで、どうしてもボリュームゾーンを捨てられないということが多かったですが、ペルソナが明確なので、「その上で自分たちはどうコミュニケーションをとるべきか」という絞り込みが格段にしやすくなりました。

キュービックがもつケイパビリティを活かし、リニューアルを前進させる

ープロジェクトを進めるうえで障壁などはありましたか?

團野:社内でこれまでの前例が少ない取り組みなことや、SEOリスクも一定潜んでいる大掛かりなプロジェクトとなりそうだったので、事業部メンバーはもちろん事業部外のメンバーの賛同が必要不可欠でした。関係者全員を巻き込んでいくためには、「どのようにビジネスと連結されていくのか」が肝になると思ってました。

浅井:デザイン変更によってユーザーの記事内の行動を大きく変えることになるので、SEO戦術を担保するマーケターとしてはリスクともいえますし、良く変えられる機会ともいえます。リードマーケターとして、いかに好影響をもたらせるかは知恵を絞る必要があると感じました。

團野:「一期一会となってしまっているユーザーとの接点を、何度も訪問してきてくれるものへと変えていきたい」という最終ゴールは持ちつつも、初訪問したユーザーに記憶に残るくらいのよい買い物体験をつくっていくことがなにより重要。そのための手段として、本プロジェクトがあると位置づけたのが良かったと思います。プロジェクトとしてのKPIをCVR(ユーザーがECサイトへ遷移した率)と置いたのもこれが理由です。そのおかげで、主観で良し悪しが判断されがちなデザインやUI/UXも、チーム全員が明確な目的をもって合意形成できたのだと思います。

企画だけじゃない。リニューアル作業自体も大変だった?

ー800本もある記事のリニューアルとなると想像を絶しますが、リニューアル自体は順調に進みましたか?

團野:リリースまで約3カ月という計画を、無事オンスケジュールで終えることができました。それだけを切り取るととても順調に思えるのですが、やはり作業量は膨大でしたし、想定外も色々あって調整の繰り返しでした。

浅井:いざ実装作業に入ってから、デザインパーツが足りないと発覚するとかですね(笑)。納期は明確に決まっていたので、進捗状況を確認しながら、うまくいってない箇所を洗い出す→マニュアルに落とし込み→周知→…を本当に毎日、ディレクターと一緒にやってました。ハードでしたね。
ただ、エンジニアやデザイナーも含め、上流の企画段階から意見を出し合いゴールの認識はすりあっていたので、なにかあってもすぐ背景理解をしてもらい、対応してもらえたのは心強かったです。デザインやエンジニアチームがインハウス化されているキュービックだからこそ、これだけスピーディーにプロジェクトが実現できたのだと思います。


リニューアルによってCVR160%に向上

ーリニューアル後、反響などはありましたか?

浅井:KPIとしていたCVRは、プロジェクト前後で160%ほど向上しました。リリースして終わりではなく、実装後も毎週プロジェクトチームでサイトのパフォーマンスをモニタリングし、課題点を見つけて一つひとつクリアにしていったこともよかったです。それに加えて、ブランドセーフティを重視する企業からの相談が増えたのも良い変化ですね。

團野:まだ道半ばですが、デザインが一新されたことで、ユーザーにyour SELECT.が作っていきたい世界観が伝わりやすくなったと思います。それに加えて、メディアに対して特色がついていけば、ペルソナをまさに戦略ターゲットとするような企業からのニーズも生まれやすくなると考えています。

浅井:企業のマーケティング担当者と会話する機会が増えているのですが、認知と購入の間にある「興味関心・比較検討」に課題感をお持ちの方が多いなと感じます。認知系に振りすぎると打ち上げ花火的になってしまい効果が一過性で、逆に購買に近すぎるとアフィリエイトメディアとの競合性が高く、なかなか手を打てていないという。

團野:雑誌を読んでるみたいな読後感と検索SEOに強いというのが、強みの一つなのかもしれませんね。今回のプロジェクトで、メディアとしての土台を整えることはできました。まだまだ課題は山積みなのですが、心ときめくような買い物を楽しんでもらえるよう、頑張っていきたいと思っています。

■your SELECT.について
your SELECT.®︎(ユアセレクト)は、「買い物、本来の"ときめき"が生まれる場所をつくる。」をブランドコンセプトに、"永く愛用できるもの"を専門家たちが厳選して紹介するお買い物メディアです。Webメディアに加え、公式SNSでも買い物情報を発信中。LINE公式アカウントでは、新着記事やお得なセール情報をお届けしています。

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